長瀬金田一に松岡明智、新しい試みにそれなりの期待感があったのだが、最近の2時間サスペンスのクオリティの高さから考えれば、水準作かそれ以下といったところ。

主役二人は与えられた役柄を手堅く演じていたし、時代設定を素直に現代に持ってきたことにも違和感は無かったが、展開がややギクシャクしていたか。伏線の張り方があまり上手くないので、視聴者をミスリードすべきところで説得力を欠いてしまう。ダイイングメッセージと密室トリックのお粗末さは、脚本家や演出家の力量不足の現れ。犯人の名前を示すのにモールス信号を使うというのは全く合理的な説明が付かないし、犯人が警視庁の壁面を登って脱出するというのはあまりに不自然すぎる。テレ朝といえば、前クールの「八雲樹」なんかはそれなりによくできていたし、もう少し作り込めなかったものか。配役はまぁ良かったし、堀北真希や内山理名の演技にも特に難は無かっただけに、何とも勿体ない(余貴美子をわざわざ端役で使うのは失礼だけど)。

最後の最後で犯人が怪人二重面相だった、というのは「アリ」だと思ったが、小細工は全体がよく出来ていて初めて意味があるもの(あとは、小林少年が犬だったり、明智がプロファイリングの専門家だったり……)。断片的なアイデアが先にあって、後で何とか繋ぎ合わせた、そんな印象を強く受けた。☆☆★(2.5)