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読了はちょっと前なのですが、「ハヤカワがトンプソンに手を出した」作品。トンプソン一流のノワールを期待して読むと、見事に肩透かしを喰らいます。一般の読者には決して勧めませんし、トンプソンファンならチェック、というのでもなく、トンプソンの足跡を追う上で資料的な価値がある作品とでもいいますか。

アメリカの人気ドラマのノベライズ、といってもストーリーはトンプソンのオリジナルらしいのですが、下半身不随の車椅子の警部・アイアンサイドを主人公にしたサスペンスです。200頁足らずの中に複数の事件を絡めて、警部と部下たちとの信頼関係を描いて、よくできてるとは思いますが、やっぱりスケールがテレビサイズなんですよね。

唯一トンプソンの香りがするのは、思わせぶりな導入部だけですし、とにかくトンプソン作品は全て読むという人以外は、スルーしてよろしいんじゃないですかね。☆☆☆(3.0?)。