若い店主が独立して一生懸命やってるお店のようで、それだけで尊敬しちゃいますし応援したくもなるんですが、こちらも時間と電車賃をかけてプロの仕事を味わいに来てるので、やっぱり書きたいことはそのまま書いてみます。

いつも東上線から見えて気になっていた、東武練馬駅前は自家製麺のお店、「いち」さん。どうやらスナックを改造した店舗のようです。まずは基本の醤油に、奥久慈鶏の味玉をトッピング。

とにかく店主が動きまくる。スゥプを1杯ごとに小鍋で温め、直前に最後の追い鰹。味玉もわざわざお湯で温め直し、隣の客のチャーシューご飯用にネギチャーシューを炒め始めたと思えば、ラーメンにのせるチャーシューも直前にバーナーで炙る。

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出て来た1杯も、これぞ魚介醤油という色に鰹の香ばしさ。……ここまで期待させておいて、はっきり言って全く旨くないです。全てが少しずつずれた結果、何一つ褒め所が見当たらない1杯に。

まず、あれだけ香る鰹がスープにどうにも生きてこないんです。ほとんど奥行きを感じさせない薄く平べったいスープは、醤油ダレはともかく、動物系が弱すぎるんじゃないかな。失礼極まりない表現ですが、「緑のたぬき」を無化調で作ったような後味なんですよね。

中細縮れの麺も、自家製の割に変にぷりぷりっとした、安っぽい印象を受ける食感で、麺だけを味わってみると小麦の香りも弱いんですよね。これだったら敢えて自家製で勝負する必要は無いと思います。

チャーシューも炙ったのはいいけど、元からして肉の味が抜けてる上にペラペラで、いい素材使ってるんだとしたら勿体ないですよね。

味玉も素材の良さは分かったけど、それでも黄身に相応の味を入れて欲しいのよね。?110ってのは「味玉」としても他店より高い設定なんだから。

正直、途上というか、完成までにはまだまだ時間がかかりそうな1杯だと思います。若くしてラーメン屋さんをやっておられるんだから、絶対あたしなんかよりラーメンを愛してる方だと思うんですよね。他の自家製麺・魚介系の店と比較して、納得して出してはるのかなぁ。メニゥはこれからも増やす予定の旨書かれてましたが、基本がこれで完成だとしたら勿体ないです。