前回、「けんけん」とセットでの訪問を予定していたのですが、昼営業で麺終了とのことで断念した「麺食堂X」さん。行列店ならば、と開店と同時の初回ロット狙いで20分前に着くと人影無し。さすがに恥ずかしいので5分ほどうろうろしてると、一番客の姿が。

こいつは店の前で喫煙をし店の前の路上に吸い殻を捨てるゴミだったのだけど(後にこのゴミが常連客と判明して衝撃を受ける)、その後どんどん増えて、開店時には20人近く並んだだろうか。

「馬賊」と同じく、生地を伸ばしてくるくると回し、板に打ち付けるパンパンという音が店内にこだまする。その間お客は各自の卓上に置かれたジャスミンティーを楽しむスタイル。注文は看板の「旨塩つけ麺」を無料の「麺多め」で。

たしかに過去に一度も食したことの無いタイプの麺で、誰もが衝撃を受けるはず。圧倒的ななめらかさとのどごしの良さ、ソフトな口当たりにしてコシは強く、何より水から引き上げられ皿に盛られてもなお、あたかも水の衣をまとっているかのようなみずみずしさは、打ちたてのなせる技なのでしょう。

「手延べ」であって生地を切断する作業を経ていないが故なのか、口の中に入ると「麺」の1本1本の感触がなくなり、もっちりしてみずみずしい一体の食べ物であるかに感じられるのも、新鮮な驚きだった。

つけダレは非常にシンプルで、スープ割りせずともいただけるようなさっぱりしたもの。白濁したライトな豚骨ベースのミルキーなスープに、ニンニクの香りを強めに効かせています。

あくまで主役は麺なのだから、過剰な味付けはせず、粘度を高めて必要以上にタレを絡ませる必要もないということなのでしょう。それでも、単独で飲んでみても非常に旨い。

具は青菜、メンマ、卵、いずれも素材の味を活かす控えめな味付けで、まさに名脇役。逆につけダレに入っていたチャーシューは印象に残らなかった。

再訪するかは別にして、「手延べ」とはかくも機械製麺とは違うものなのか、という衝撃を受けました。2時間近くかけても食べにいく価値はあります。☆☆☆☆☆☆☆★(7.5)