ロバート・クレイス著。講談社文庫。
いやぁ、久々のごほんの紹介なのですが、厄介なのを読んでしまいました。みなさんに紹介したい類の作品じゃないんですよね。ごくごく標準レベルのサスペンス小説です。元爆発物処理班の女性刑事が爆弾魔と対決する、ハリウッド的なストーリーなのですが……
よかったところ
・ベテラン作家らしく、伏線の張り方や読者のミスリードの仕方が巧み。ストーリーもひと捻りふた捻りあって、決して「どっかで読んだことがある」では終わらせない。
・単発作品ながらもヒロインの造詣がしっかりしており、おのれの過去と向き合う姿が、頁数を割いてじっくりと描かれる。
・ありがちだが、ラストの対決シーンの緊迫感はさすが。そこに至るまでの600頁超にも、ほとんど無駄がなく一気読み必至。
わるかったところ
・爆弾マニアのサイトや掲示板だとか、チャットで犯人をおびき寄せる様子だとか、今となっては目新しさもなく、描写も貧弱に映る。
・犯人が少々薄っぺらい。ペーパーバックスケールの敵役。
総合して☆☆☆★(3.5)。新作「ホステージ」を読むために前作から読みましたが、敢えて掘り出して読むほどのもんじゃないかも。