ベスト10は的中が7作ですか、いつもと代わり映えなく。挙げた10作が15位以内には全部入っていたので、比較的優秀な読み手だったのではないかと思います。19点以上の作品が51作ある中、既読が46作品というのは、しっかり時代にはついていけてるかな、と。「その罪のゆくえ」「見張る男」「デュ・モーリア傑作集」「スウェーデンの騎士」「神の水」が未読。

 「弁護士の血」と「彼女のいない飛行機」は全くのノーマーク。どっちも、一気読みできるエンターテインメントとしては好みなのですが、前者はさすがにノリが軽すぎるかと、後者は集英社にもっと傑作があったという印象(「悪意の波紋」「ゲルマニア」「ネメシス」)から、考慮に入れつつ外した作品なので仕方ない。

 クックとルヘインとルカレを外してよいのか、とか書いていたら、全部ベスト20に入るとは。過去に大傑作をものしている作家の佳作は判断に困ります。ゴダードやハンターが復調したらそれなりに点が入るあたり、みんなこのあたりの作家が好きなんだよね、今でも。

 さすがに「このミス」だと思ったのは、28位から30位の並び。「七人目の陪審員」「リモート・コントロール」「Zの喜劇」。ベスト20には絶対に入らないマイナー出版社の発掘作品をこの順位で拾えるのは、ろくに読んでない人間が大半の文春ベストには決してできない芸当。「リモート・コントロール」は本格ミステリベストの方が拾いましたが、フレンチミステリの香り高い「七人目の陪審員」と「Zの喜劇」が拾われるとは思わず、とても嬉しいです。

 その他。「ガール・オン・ザ・トレイン」も軽めな印象でしたので、ランクインは意外でした。軽い作品で入るとしたら、「さよなら、シリアルキラー」か「模倣犯」あたりと読んでいましたので、うーん。「出口のない農場」「ゲルマニア」「国王陛下の新人スパイ」がことごとく低調だったのはびっくり。

 巻末リストで調べたところ、海外の新作は100作くらい読んでますね。0点作品の中だと「ノア・P・シングルトンの告白」がベストかな。自分が投票するとしたら、1「声」、2「もう過去はいらない」、3「悪意の波紋」、4「Zの喜劇」、5「国王陛下の新人スパイ」、6「パールストリートのクレイジー女たち」でしょうか。